Maison Dea

ファッションについてのあれこれ

レディース靴の選び方 ①厚底

 

 

形状だと

ピンヒール、チャンキーヒール、フラット、厚底…

 

素材だと

ラバー、レザー、クレープ、スポンジ…

 

などなど様々な種類がある靴。

見た目やイメージだけで買ってしまっていませんか?

 

 

身体全体を支える足。

その足を支える靴は健康状態にも関わってくるため、とても重要なアイテムです。

 

何回かに渡って靴の選び方をソールの形状別にまとめていきたいと思います。

 

 

今回厚底から、注意点やポイントをご紹介します。

 

1つ目にわざわざ厚底靴からご紹介するのは一応理由がありまして、実は厚底靴は「トラブルが起きやすい靴」なのですが、その点で歩行の関係性と共に説明しやすいんです。

なので厚底靴がお好きでない方でも知っておくと便利な情報もありますので、良かったら読んでみてくださいね。

 

 

 

 

厚底靴の思い出

 

私が初めて買った厚底靴は、18歳のとき専門学校の研修旅行で行ったロンドンにて、カムデンタウン駅前にあるBRITISH BOOT COMPANYで購入したジョージコックス。

スエードのアッパー(靴の上部)にクレープソール。ソールの厚みは約4cm。まさにこれです!

好きすぎて1年間に400日ぐらい履いていました。

履いていた当時から系統は変わりましたが、改めて見てもやっぱり好き…

当時お気に入りすぎて、靴紐通しのリングを支える革が伸び切って、踵が減りすぎてソール側面に巻いてあるクレープ地がベロンと剥がれてしまうまで履き潰しました。

 

しかし「厚底は楽」と思い込んだまま履き続けていましたが、今思い返してみると過去気にしていなかっただけでかなりトラブルが起きていました…  

 

先程「靴紐通しのリングを支える革が伸びた」「ソールが減りすぎて周りが剥がれた」と書きましたが

実はこれらは厚底靴特有とも言えるトラブルなんです。

 

 

厚底靴のトラブルとその原因

 

私が現在持っている厚底のシューズで説明していきますね。

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大好きなドリスヴァンノッテンのローファーです。

つま先部分は4.5cm、ヒール部分の高さは7.5cmのソール。

スタック革巻き*1の中身はプラスチックかと思います(多分)。少し重めです。

 

履いた状態はこんな感じ。

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表面に皺が寄っていて甲部分が浮いているのがわかるでしょうか。

これ、元々の仕様ではないんです…

 

 

人は歩くとき、後ろ足のつま先を地面に付け踵を上げ屈曲させます。

まずスニーカーで再現してみます。

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本来靴はこのように足の形に沿おうとするため、アッパー(靴の上部)のの部分が押し上げられ、ソールのの部分が曲がりますね。

 

厚底靴の場合はその厚みのせいでソールが曲がりません

スポンジなどの柔らかい素材でも、大体4cm以上もあると歩行の際はほとんど曲がらず、先程のの部分に全ての負担がかかります。

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そのためこのローファーのようなスリップオン*2タイプの革靴であれば甲部分がどんどん押し上げられます。

なので表面に皺がより、内側に隙間ができてしまいます。

 

ハトメ穴が開いている紐靴の場合は大丈夫ですが、私のジョージコックスは紐通しのリングが革で固定されていたため伸びてしまったんです。

 

ちなみに前足はこうなります。

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 (この靴はヒールが高いためここまで脱げませんが、わかりやすいようオーバーにしています)

 

もうお分かりですね。

甲が安定しないと踵が脱げやすくなり、歩行の際に前に足を出すと踵が勢いよく落ちて地面に擦れます。

なのでソールの減りが早く、ものによっては削れと衝撃によりソールの側面が剥がれやすくなってしまうんです。

 

 

厚底靴による身体のトラブル

 

甲が安定していない場合、摩擦量が多くなるため硬い革の場合靴擦れが起きやすくなります。

そして歩行の際、踵の脱げを回避するために脚全体に変な力が入り筋肉痛になったり。

しかし足に無理矢理固定させると今度は足の甲にダメージを受けることも。

 

こちらの写真の厚底だと足首近くまでしっかりと固定されています。

 

ここまで全体的に固定されている場合、歩行の際靴全体がそのままの形状で足についてくるので甲へのトラブルは軽減されます。

しかし靴の中で足が曲がらないことで筋が伸びず血流も悪くなるため疲れやすくなってしまいます。

 

 

厚底靴の起きやすい身体のトラブルをまとめると

 

【スリップオン・紐靴】… 足の甲が痛くなる、靴擦れ、筋肉痛

【足全体が固定されているもの】… 疲れやすくなる

 

となります。 

 

その他の注意点としては柔軟性がないため小さな障害物でも転んで捻挫などしやすく、足裏の感覚が鈍るため車の運転にも向きません。

 

 

厚底靴のメリットと向いている人

 

上を読んでもう履きたいと思う人はいなくなってしまったかもしれませんね…でも厚底靴にも良いところがあります。

 

怒涛のように難点ばかり挙げたので信じてもらえないかもしれませんが、私は厚底靴が大好きです。

何故なら、あまり歩かない場合なら厚底靴はスタイルアップ楽さのバランスが断トツなんです!

 

靴にボリュームがあるため、対比で足首が細く見え、股とウエストの位置が高くなるため脚が長く見えます

 

スタイルアップ面ではチャンキーヒール*3の靴に近い効果がありますが、ヒールがあると高低差のせいで歩いていても立っていても常に疲れます。

厚底靴はつま先と踵に高低差がない分体重が足全体に分散され安定感があるため、立っている分にはとても楽です。

 

そのため特に立ちっぱなしの時間が長く、人に見られるショップ店員の方に向いている靴だと言えるでしょう。

 

 

履きやすい厚底靴

 

使いづらいイメージがついてしまったかもしれませんが、履きやすいものも。

サンダルタイプです。

 

基本的にはソールが曲がらないことを前提でデザインされているため、サンダルタイプだと脱げないようこのように足首までストラップがあるものなどが多いですね。

 

 こちらのサンダルだとソールが曲がっているため、厚底としては機能性が良い方だと思います。

 

ポイントをまとめてみました。 

 

ソール

  • スポンジソールで柔軟性が高く、先程の②部分に切れ込みが入っているため厚みの割に曲がりやすくなっている。

アッパー

  • ストラップが甲の出っ張りよりも足首側適度に細いため痛くなりづらい。
  • 甲から踵に一本線で繋がっていることで、踵へダイレクトに力が伝わり持ち上がりやすくなる。
  • つま先が出ているため足の指が動きやすくなることで疲れやすさが軽減される。 

 

一応これらのポイントをいくつか押さえてあるものであれば、厚底でも多少機能性はアップします。

サンダルタイプはつま先がしっかり出ているものであればかなり楽になると思います。

 

個人的には疲れやすさがあっても脱げないものの方が楽なので、サンダルでも甲から足首付近に安定感のあるものがいいかと思います。

 

ソールが曲がるのが一番足には優しいですが厚底だと基本的に難しいです。

ちなみに厚底の場合はソールが曲がっても元の形に戻ろうとする反発力も強いので、結局甲に負担はかかってしまいやすいという面もあります。

 

 

まとめ

 

 厚底靴を選ぶときは

 

  • ソールの曲がりやすさ
  • 甲の安定感
  • 安定感がない場合は革の肌触りが優しいもの
  • 足(または指)の動きやすさ

 

をチェックしましょう。

 

これらを満たしていない厚底靴の場合はとにかく「あまり歩かない日」に履くのがおすすめです!

 

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

靴のトラブルの原因などを知ると、厚底靴だけではなく、靴に対しての意識やイメージが少し変わってきませんか?

 

私はファッションを楽しむ際、デザイン性の高さだけで靴を選んでしまったことで、「今日の服と合うけど疲れるから別のものにしよう」といった感じで使わずに靴箱に眠らせてしまった靴がたくさんありました。

飾るために買ったものならいいですが、そうじゃないならもったいないですよね。

 

そう思い、たまに意気込んで履いてみたもののお出掛けの際にすぐ疲れてしまって予定通り事が進まなくなってしまったり…

人を豊かにするためのファッションが人の行動を阻害してしまうのでは本末転倒です。

 

注意点を踏まえているだけで買う際にも持っているものを使う際にも判断材料が増え、靴が選びやすくなるかと思います!

 

機能性がありデザイン性も伴っている靴を探すとなるとなかなか難しいですが、気に入ったデザインの厚底靴を見つけた際に、この記事がお買い物の参考になれば幸いです。

 

その日のコーディネートを考える際は靴の特徴、ご自身の体調、その日の予定などを考え、上手に靴を選んでくださいね。

 

 

 

*1:革を層状に積み重ねたスタックというものを縦に薄く切ってソールやヒールの側面に巻く靴の製造方法の一種

*2:靴紐やバックルなどの金具を使わない、靴全体の形状だけで足に固定させる靴。スリッポン。

*3:通常のものよりも太めのヒールを持ったハイヒールを指す。チャンキーとは「ずんぐりした」という意味。普通のハイヒールの場合はヒールの部分が直径7ミリメートル程度の細さであるが、チャンキーヒールは直径2〜3センチメートルの太さであり、より安定感がある。