Maison Dea

ファッションについてのあれこれ

新型コロナウイルスがファッションを変える

 

 

可愛い服を着て出掛けたい…

 

そんな気持ちが抑えきれず

人に会わないのをいいことに普段には少し派手でなかなか出番のなかったお気に入りの服を着て、濃いめのメイクをして、ストレス解消!

おかげで外出自粛は守りながらも、お出掛け気分でいられています。

自分が単純で良かった…いや、それがファッションの力です。

 

 

新型コロナウイルスの蔓延で

4月16日には遂に全国的な緊急事態宣言も発令され

事態の終息の時期なども予想がつかない今

医療従事者の方以外の私たちが、自分たちや社会のためにするべきことは

”感染しないこと”。

 

人と人との接触を禁じざるを得ず、外出の自粛を余儀なくされ

友人や恋人、家族にも会えず、突然現れた新型コロナウイルスに生活が一変させられてしまいとてもつらい時期ですよね。

 

 

しかしみんなが苦しい状況の中、事態の終わりが見えなくても

今自分たちにできることを一生懸命やっている方々の姿を見て

私も勇気をもらっています。

 

 

そんな今までの日常を壊されてしまった現在、

ファッションの社会的需要はないに等しいです。

一体これからのファッションはどうなっていくのでしょうか?

 

 

そこで今日は

新型コロナウィルスの影響でファッションにどのような変化が出てくるのか?

ということを私なりに考えていきたいと思います。

 

 

ファッションは社会に影響される

 

 

まずファッションは政治や経済、歴史などと密接に関係しています。

(私は学校の勉強が苦手だったので…難しいのは抜きにしてサクッと説明したいと思います。)

 

 

戦時中~戦後には物資の不足により、

安くて丈夫な繊維で衣服が提供されました。

 

その後大戦後の荒廃から立ち直るとともに

衣服は主婦の手作り・繕い、洋裁店の注文服*1から縫製メーカーの既製服*2へと変わっていきました。

 

更に1960年代頃には、経済の高度成長に伴う消費文化が盛んになったことによる衣服・既製服産業の発展の結果、

衣服はデザイン等の”ファッション性”を意識したものへと変化していったのです。

 

 

その後私たちの生活水準は高いものとなり、安定し

過去の実用性経済性を重視したライフスタイルから

潤い、美しさ、ゆとりといった感性を重視するようになってきましたね。

 

 

そして近年では、毎年ファッション業界から9200万トンの繊維が廃棄されているという現実があり、物資の過多が問題視されているため

昨年ごろからファッション業界でも「サスティナブル*3」がキーワードとなりました。

 

リサイクル繊維を使用しつつもデザイン性に特化した衣服などが徐々に出回り始め

フリマアプリの普及により古着が一般家庭にも馴染み、需要が高まってきています。

 

 

普段みなさんが毎日纏っている衣服には

こういった社会的、経済的背景があるのです。

 

 

さて、前置きが長くなりましたが

今回の新型コロナウイルスの影響により経済は低迷を始め

今後対策に失敗すれば暗黒時代を迎えると言われています。

 

 

 

では、そこでここからやっと「コロナウィルスがファッションにどう影響するか」について話を進めていきます。

 

 

新型コロナウイルスが与えたファッションへの影響

 

 

新型コロナウイルスの影響により個人レベルで経済的打撃を受け

生活水準が下がり生活の基本の充足が脅かされることで

人々の生活の安定を図ることが優先されていきます。

なので残念ながら、社会でのファッションの優先度は低くなります。

 

 

どこのショップも店舗営業停止をせざるを得ず

苦肉の策でオンラインショップを開設しても、需要自体が低下してしまっているにも関わらず

とにかく存続の為にできることをやるしかない…と

今までと同じように新着アイテムを紹介し続ける、といった感じでした。

 

 

しかしそこで、マスク不足が深刻化し続ける現在

アパレル業界*4がマスクの生産販売を始めたのです。

 

 

日本のデザイナーズブランド*5など。

www.fashionsnap.com

 

海外のブランドではこんなに可愛いものも。

 
 
 
この投稿をInstagramで見る

Lirika Matoshi(@lirika.matoshi)がシェアした投稿 -

 

ヴィンテージショップでも。

 
 
 
この投稿をInstagramで見る

DESPERATE LIVING(@desperate__living)がシェアした投稿 -

 

 
 
 
この投稿をInstagramで見る

MARTE vintage fashion boutique(@marte_vintage)がシェアした投稿 -

 

かわいい…ほしい…

こんなに可愛かったらマスクもコーディネートの一部になっちゃいますね。

 

そして”マスクをつける”ということがポジティブに感じられませんか?

 

 

 

ファッションの新しい時代への可能性

 

 

ということで、ここでファッションの新たな可能性を感じます。

 

 

今まで「マスク」というアイテムをわざわざ作るファッションブランドはほとんどありませんでした。

今回、わざわざマスク用の生地を製造したわけではなく

ほとんどが自社で余っていた生地で製作しています。

 

 

サスティナブル文化が流行し始めていたとはいえ

「売るために作る」「売りたいものを作る」

というスタイルが根付いてしまっていたアパレル業界。

 

なかなかそこからは抜け出せそうもありませんでしたが
どうしても売れなくなって初めて

必要なものを作る」という商業の原点に戻りました。

しかもそれぞれの技術を生かし、美しく

 

 

「売るために作る」時代で大量に製造され残された物資

「売りたいものを作る」時代で激しい競争率により磨かれたセンス技術

結びついたということ。

 

 

残念ながらマスクの製造でアパレル業界が復興できるわけでも

物資の過多が改善されるわけではありません。 

 

しかし”どこか前衛的な企業”がではなく、”アパレル業界全体”が

立ち止まった現状と技術を生かした新たな行動を起こし始めたことが大きな変革への第一歩だと思います。

 

 

この先世界全体がどうなっていくかも

そもそも新型コロナウイルスがなくなるのかも、現時点ではわかりません。

 

しかしその第一歩を踏み出せる人たちだけが前に進み

困難を乗り越え、新たな時代を作っていける。

 

 

その人たちが作る新たなファッションとは、一体どんなものなのでしょう?

 

 

 

新しい時代で生かされていくものとは

 

 

人を見極めイメージの提案、ものの厳選をするパーソナルスタイリング

個人に合わせ完全受注生産で無駄を省くオーダーメイド

ものの質を保ち長く使うメンテナンス

 

これらはファッションにこだわりのある人など、一部の人たちだけのものでした。

ですが今後、これらの”一般化”が加速していき

センスクオリティを併せ持つ高度な個人向けサービスが必要とされ

それが広く提供されていくと思います。

 

 

そしてもう十分すぎるほどある「もの」を新たに生み出すのではなく

ものに「価値」を見い出すことができれば

現在溢れ切っている「もの」でも生まれ変わらせることができます。

 

リメイクや、リデザイン。

余っている既製服を安く売ったり、寄付という名目でそのまま処理するのではなく

新たに生き返らせる事業なども。

(古着だとDEPTさんが行っています。)

  

そんな人や環境にも寄り添った新しいファッションの時代が訪れるのではないでしょうか。

 

 

勿論それにはたくさんの課題があり、簡単にできることではありませんが

アパレル業界のプロフェッショナルの方々は

それができる鋭く繊細なセンスとクオリティの高い技術、

そしてなにより情熱を持っていると思います。

 

 

良い技術はものの質を変え

質が良いものは生活を、人を、豊かにし力を与えてくれます。

 

 

ファッションは生きる上では必要のないものです。

でもファッションは人生を少し楽しく、豊かにする素敵なものだと、私は信じています。

 

 

世界中がとても厳しく苦しい状況で

まだ復興を考えられるような段階ではないかもしれません。

しかしこんな状況でも新たな可能性を見出し、未来への希望を抱くことで前に進む力を持てるはずです。

 

苦境に立たされ変わらざるを得なくなったことで始まる新たなファッションの時代が

少しでも、社会を豊かに変えていくことを願って。

そんな未来を楽しみにしてみるのもいいのではないでしょうか。

 

 

そしてみんなで一緒に、乗り越えていきましょう!

 

 

 

So, stay at home and wear lovely clothes!

 

 

 

*1:注文服【ちゅうもんふく】客側がデザインや素材を自由に選び、数回の仮り縫いを経て丹念に仕立て上げられる服。オーダーメイド。

*2:既製服【きせいふく】不特定多数の消費者を対象として、多量に見込み生産される衣服の総称。あらかじめ特定のサイズの服を用意しておく既製品(レディ・メイド)の服のことである。 ハンガーで吊るして売っていることから「吊るし」と呼ばれることもある。

*3:サスティナブル【sustainable】人間の活動が自然環境や資源に悪影響を与えず、かつその活動を維持できるさまを表す言葉。また、物事がある程度の期間安定して行われるさまをいうこともある。「持続可能」と言い換えることが多い。

*4:アパレル【apparel】衣類。衣服。特に、既製服。洋服”の業界のことを主に「アパレル業界」と呼ぶ。衣服、その他装いに関係する装身具、美容(理容、髪型、化粧)、香水なども含む「ファッション」と特に分けずにアパレル業界のことを「ファッション業界」と呼ぶこともある。

*5:デザイナーズブランド【designer's brand】ファッション・デザイナーが自らの感性やデザイン力を前面に打ち出し、企画から生産まで主導的な立場で関わるブランド。デザインや品質に対する価値を高め、商品の差別化をはかろうとするものである。